走っても走ってもどこへも行けないの。最初は、夜の学校ってなんだか楽しいなって思いながら、廊下を走ってた。でも、下駄箱がどうしても見つからない。真っ暗だからいつもと違って見えるだけだろうと思うんだけど、見覚えのあるところがひとつもなくて、同じところをぐるぐる回ってるだけ。よく見たら全然知らない学校なの。それに、いつもの学校ってのもどんなのだったかも思い出せなくなってた。少し怖くなって慌ててぐるぐる走りまくるんだけど、やっぱり出口がなくて。

ずっとそうしてたら、地下に降りる階段を見つけるの。話し声が聞こえてきて、あたしと同じように迷ってる人がほかにもいるのかなって思った。階段を降りてたら、思いきり転んで、転げ落ちて、原色のアリスのお茶会みたいな場所にたどりついて。大勢の人がみんな楽しそうに過ごしてた。その中のひとり、顔はよく思い出せないんだけど、男の人が私を見てめっちゃびっくりした顔するの。親しく近づいてきて、私も特に警戒しなくて、その人がバスに乗せて学校の外まで送ってくれるの。

バスから降りて、お礼を言おうとしたときに突然分かったの。この人私の恋人だ。私と出会う前に死んでしまった、私の大切な人だって。紛れ込んでしまった私を、元のところまで連れてきてくれたんだって。私が泣きだしたらその人も泣き出してしまった。抱きしめられながら、私もその人の胸に顔をうずめてわんわん泣いてた。

目が覚めてまた泣いたよ。arthurのbabybaby聴いてると、その人のこと思い出すんだ。