机においた手の下から あらゆる方向に伸びる直線が僕を突き刺す気がする
白く細くどこまでも長く尖り赤く滴る

この暗い部屋でひとり泣き続ける僕はみんなと違って自分の傷を赤の他人に見せびらかす趣味はないらしい
あの子が 彫刻刀で薄く指を切ったのは教室だったし
あの子が 叫びながら腕にカッターナイフを突きつけたのは教室だったし

僕の声がする
「何処へも行けない」
そうだねその通り もう動けないけどここに留まることもできない
「誰も僕を望まないだろ?」

さあおいで助けてあげるからと言って君は僕に向かって手を伸ばしているけど
僕はほかの誰かをさがしてる
まるで絵画の中にいるみたいに傷を舐めあうのが僕の夢なんだ
きっと その人は僕よりずっと綺麗な腕をしているだろうけど
きっと そのおかげですこしは慰めてあげられるはずだから

こんな懺悔ちっぽけ過ぎて届かないだろうけど
すこしだけ 遠い星に目を凝らして

イルカの跳ねる水平線から南風
この足で届くまでの距離に この手の届くまでの距離に