流れ落ちながら燃え尽きてゆく流星群。

どんなに手を伸ばしても、
彼らは空気に、炎に砕かれて、
僕の手に届くことはない。

どんなに耳を澄ませても、
死んでゆく星たちの断末魔は聞こえない。



なんて、なんて美しい。

オーロラのように、
弧を描き尾を広げる死装束。




















君は言った。
この世界に光なんてないんだと。

そうだね、僕が見つけられた光は、大群になって死に急ぐ悲しい光だけ。
本当に、君の言うとおりだ。



でも何故か、春の陽気の中で、たんぽぽみたいに揺れてた君を思い出したんだ。


君が笑う気がしたんだ。




















街も、風も、木々も眠ってしまったような真夜中。
生きている、蠢いている、死んでいくのは星と僕と君だけ。

光を知らない眼をして、泣いているのは君だけ。










君より深い闇を抱えて君を抱き締めてあげる。
光は濃い闇の中でこそ、その輝きを増すものだから。
そして、君の窓から飛び降りてあげる。
見上げれば、ほら、僕の仲間の星たち。
君より悲しい、終わりゆく光。

だから、もう、泣かないで。







君の耳元で囁いて、涙で濡れそぼった羽根に、キスしてあげる。
僕が神様に祈ってあげる。
世界の全てが幸せになるように。
手探りで触れる頬が、もう涙で濡れないように。















仮初の光は、焼け尽きて塵も残らない星の残骸。
君が作り出すのは、もがく残像に映る涙が起こす光の屈折。
よく似た光を、僕はこの眼に焼き付けている。




















僕が誘う青の窓辺。
君の手で、外される鍵。


水の中のガラスのように透き通る君は、瞳を濡らしたまま笑みを作る。


君が笑う気がした。
君を笑わせたかった。












ああ、
笑えない君に、
あの日なたを思い出せなくなった君に、


全力で嘘をつこうか。


君に仮初を囁いて、言い聞かせて、あの日なたに放り出してしまおうか。

























「悲しいことなんてないんだ」